若菜かな…? 3-1-4

若菜かな…?

第3章 若菜の部屋


おふくろさんは居間の掃除をしながら、俺におかえりと声をかけた。
「文化祭の劇の練習は順調?」
文化祭? そうだ、若菜の所属する演劇部では、秋の文化祭で劇を披露する予定なんだ。そういえば、おふくろさんも昔、舞台女優をしていたと言ってたな。
「練習相手が必要だったら、ママがしてあげるわよ」
「ありがとうママ。今度、お願いするね」
俺の断りの言葉に、おふくろさんは、ちょっと残念そうに微笑んだ。
親父さんは銀行の副支店長として京都に単身赴任中だ。おふくろさん、暇なのかな……。
おふくろさんは、俺ともっと話したいようだったが、不用意な会話は馬脚を現すだけだろう。
俺はいそいそと2階の若菜の部屋へ行き、ベッドの上で大の字に横になった。

シンプルで、よく整頓された部屋。勉強机には小さな観葉植物が置いてあり、白を基調とした室内は、若菜らしい清潔感に満ちている。俺は白いチェストの上の茶色い毛並みのテディベアを見つめながら、深く息を吸い込んだ。

いい香りがする。

香水の匂いというか、シャンプーの匂いというか、何だかよくは分からないけど、
とにかく気持ち良くなるいい香りだ。

 どうしますか・・・?