ヘロ星人の恍惚実験
第1章 未知との遭遇②
気がつくと、わたしたちは何もない薄暗い部屋にいました。床も壁も真っ白で、天井には照明らしいものもありません。
「ここ、どこかしら……」
わたしたちはまわりをキョロキョロ見回してから互いに顔を見合わせました。
「もしかしたら、UFOの中だったりして」
「またぁ、ひかりったら冗談ばっかり言うんだから」
真理奈と翔子は大げさな声を出して笑いました。
わたしは冗談を言ったつもりはないんですが……。でも、わたしだって出来たら冗談で済ましたい心境です。
「恐いわ、わたし」
一通り笑ったあと、翔子は急に真顔になって言いました。
「まずはこの部屋を調べてみましょう」
真理奈は意を決したように言いました。しかし、どこをどう調べていいのかさっぱりわからないみたいです。それもそうです。ここには何ひとつとしてないんですから。
壁には窓もありません。そもそも壁自体があるのかどうか、それすらはっきりわかりません。何となく閉じられた空間にいるような感覚はあるんですが、視界はクリアーだというのになのに、なんだか濃い霧の中にいるみたいで……。
真理奈は黙って数歩進み、何かにぶつかったように尻もちをつきました。
「どうしたの?」
「わかんない…」
彼女はパントマイムでもするようにぶつかったあたりを手探ります。でも、そこには何もないようでした。
「おかしいわ……」
彼女は再び歩き出そうと足を大きく踏み出しました。しかし、また何かにぶつかったのか、フラフラよろめいて止まります。
「何かあるの?」
「うん。大きい風船みたいなもの……」
わたしは彼女の横に立ってその場に手をやってみました。が、やはり何もありません。
「怖いよー」
翔子はとうとう泣き出してしまいました。
そのときでした。空から妙な声が聞こえてきたのは。