青凛学園淫乱日記
第2章 変態男の妙な趣味①
男は洗剤とかの営業の仕事をしてると言っていました。調子を合せて「きれい好きなんですね」なんてことを言ったら、そうでもないんだけどね、なんて頭を掻いて。
名前は杉本と言ったけど、この際本名だろうと偽名だろうとどうでもいいことよね。わたしもふざけて「メアリー」って自分のこと名乗ったし。別に意味はないんだけどね。文化祭で披露する劇の役が「メアリー」っていう可哀相な少女役なの。男が「君、ハーフなの?」って聞くからペラペラッって台詞の一部をしゃべったら何だか本気にしたみたい。おかしいわね。わたし、日本人形みたいって言われるぐらい日本人の顔なのにね。
男はホテルに行こうとしたけどわたしはそれを断ったわ。男は本来小心者らしく「それなら最初からついて来るなよ!」なんて乱暴なことを言わないで、「じゃぁ、ちょっとだけ付き合ってもらえますか」と言うから、それなら、ということでついて行ったわ。
男は街工場の裏の小さな倉庫のようなところへ入っていった。わたし急に恐くなって逃げようと思ったら、男もそのことを気にしていたのか「絶対に変なことしませんから」って懇願するような口調で言うの。変なことするに決まってるじゃない。まったく。
倉庫には鍵もかかっていなかった。近々取り壊す予定になっているのか内部はほとんど空っぽで、そこには壊れた机やイスがあるぐらいで床には穴まで空いていたわ。
「ひどいところね」っていったら「ごめんなさい」だって。
男は内部を見渡してからさらに奥の扉を開いた。
「わたしをどこに引き込むつもり?」
「この奥は絶対誰も来ませんから…」
「ほんとに乱暴なことはしないでしょうね」
「ぼくの顔を踏んでくれるだけでいいんです。ほんとうです。信じて下さい」
やたら懇願するのはその男の作戦かも知れないと思ったけど、顔を踏むという台詞がなんだかやけにリアルっぽく思えたので、彼はまあ、人を殺すような男ではないと思ったわ。まったく、恐いもの知らずというか、今思うと馬鹿みたいね。
奥の部屋も相変わらずな殺風景な部屋で、広さはそうね、12畳ぐらいのものだったかしら。窓ガラスには板が打ち付けてってぼんやりとしか日が入らなくて、湿気と暑さがちょっと…って感じ。